セーラー出版は2013年7月1日をもちまして、社名を「らんか社」に変更しました。

  • “借り暮らし”の家庭料理

    きょうはソンミのうちでキチをつけるひ!

    チェ・インソン/文 パン・ジョンファ/絵
    ピョン・キジャ/訳

    25×26cm 31P
    申し訳ございませんが、すでに絶版となっております


    題名には、主人公の女の子、ソンミしか名前は出てきませんが、
    実は主人公はもうひとりいます。
    表紙を見ると、小さく、左上に描かれていて……

    それは、裏庭に住んでいるねずみの子です。
    ねずみの一家は、ソンミのうちの道具を
    こっそりと“借り暮らし”しています。
    毎年、ソンミのうちのキチができあがってから、
    (すこしばかり)(勝手に)ご馳走になっていました。
    いただくばかりではわるいから、
    今年は自分たちでつくってみましょう! というママねずみの提案で、
    チづくりが同時進行していきます。

    秋の終わりのある日。
    さあ、作業開始です。
    わかりやすくソンミに作り方を教えるおばあちゃん。
    それをこっそり聞いているねずみの子。
    ねずみの子はソンミの家と自分の家を行ったり、来たり。
    ソンミの家で行われている作業の様子をねずみの家族に伝えます。

    ソンミの家の様子は大きな文字で、
    ねずみの家の様子は小さな文字で。
    文字の色も変えてあるから、テンポよくセリフがとびこんできそうです。
    二つの家族の様子を見開きで同時に楽しめるのは、
    “絵本”だからこそ。

    洗った白菜を一晩漬け込んだ翌日は、漬け込み作業。
    この日は、それぞれのご近所さんもやってきて、
    ソンミの家族も、ねずみの家族も、
    にぎやかに作業を進めていきます。

    そこで気になってくるのが、ねずみの一家が使う料理道具。
     大根を千切りにして
     (……あらら、そのナイフ、こないだ誰かさんがなくした鍵?)
     ニンニクをつぶして
     (……その、たたき棒にしている万年筆のキャップ、
     ないと困る人がいるだろうな。)

    こんな風に、“借り暮らし”のねずみ一家が、人間の道具を
    意外な使い方をして、料理を再現してしまうのが
    頼もしく、見ていて楽しいのです。
    紛失した本人が見たら、慌てるでしょうが……。
    (それに材料そのものも、ソンミのうちのもののはず……。)

    なんて、細かいことは考えずに、
    コップやライターなども総動員して、
    チづくりをしているねずみの一家を見ているうちに、
    特別な道具や材料がなくても、
    まったく初心者の自分でも、できるのでは?
    という気持ちになってきます。

    自分ひとりでなくて、家族や近所の人と一緒に
    わいわい味見しながら漬けると、
    もっとおいしくなるのでしょうね。
    絵本を見ながら作ってみてくださいね。

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