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見つめたり、見つめられたり
クレリア
えだのうえでおきたできごとマイケル・グレイニエツ/絵と文
ほそのあやこ/訳21×29cm 32P
申し訳ございませんが、すでに絶版となっておりますだれかさんの目
マイケル・グレイニエツ/絵と文
ほそのあやこ/訳21×29cm 32P
申し訳ございませんが、すでに絶版となっております現在品切れの絵本『クレリア』には、こんなポスターがついています。
《たずねムシ》
なまえ:クレリア
い ろ:きみどりいろ
おおきさ:のびちぢみじゆうじざい…
…補足しますと、鮮やかな黄緑色で、レモンイエローの目が印象的な小さなムシです。たずねムシのクレリアとともに、 絵本は長らくの間、品切れになっており、
大変ご迷惑おかけしております。おなじくマイケルグレイニエツさん作の『だれかさんの目』の表紙は
大きく目を開いた主人公の子ザルの顔が描かれています。
同時に目に入ってくるのはマイケルさんが漢字で描いた“目”という文字。
力強い字です。
目という漢字は、目の形を縦にしたんだよ、と
ついつい近くにいる子どもをつかまえて、
漢字の成り立ちについて語りたくなります。
…つよい眼差しで目が、こちらを見つめています。『クレリア』では、
表紙⇔裏表紙、前見返し⇔後ろ見返しは、
それぞれ対になっています。
お話が始まるまえのクレリアと、終わってからのクレリアのシルエットの位置は、
対称に配置されています。
お話のあと、対称の位置に、“空白”が配置されているので、
ぼっかり穴が開いてしまったことに改めて気づきます。それは現物大では小さな穴なのかもしれません。
でも、クレリアのいなくなったちいさな穴を見つめるうちに、
その存在が大きくなっていきます。
穴を埋めるために、周りを見回して、クレリアを探したくなります。『だれかさんの目』の見返しは、
誰だかわからないたくさんの目がこちらを見つめています。
頁をめくるごとに出会う印象に残る“目”。
筆記具を選ぶとしたら極太の筆で、
活字にするとしたら極太のフォントの“目”です。ふだん生活していて、1日のうちでこんなにたくさんの目、目、目に
真剣に見つめられることがあるでしょうか。
絵本を閉じた後、自分も誰かに見つめられている気がして
つい、後ろを振り返りたくなります。2冊合わせて読むと、
お話の主人公を見つめる自分と、
お話の主人公に見つめられている自分がいて、
合わせ鏡に迷い込んだようです。けれどもちゃんと戻ってこられるように、
『だれかさんの目』には、奥付頁の上に、
小さなあたたかい絵が待っています。