セーラー出版は2013年7月1日をもちまして、社名を「らんか社」に変更しました。

  • この笑顔が目印です

    ピッツァぼうや

    ウィリアム・スタイグ/作
    木坂涼/訳

    24×21cm 32P 定価1,650円(本体1,500円)

     

    まず、表紙をみてみましょう。
    タイトルが赤(トマトソース色)と
    著者名が緑(バジル色)が
    白地(モッツァレラチーズ色???)に描いてあります。
    そして真ん中には、ロゴマークのようなぼうやの笑顔。
    まるで、配達用のビッツァの箱のようです。
    中身はマルゲリータ・ピッツァが似合いますね。

    たいていの子どもは、おにぎりやサンドイッチと同じくらい、
    ピッツァのおおよその作り方を知ってます。
    自分で食べるもの、遊ぶためのもの、
    いろいろなビッツァを作って楽しみます。

    食パンに冷蔵庫の残り物とチーズをのせて焼く、ピザトースト。
    チーズの代用品のソースを使ったり、
    餅にチーズと具を乗せる餅ピザ?も人気があります。
    砂場で草花やどんぐりを乗せて作るビッツァ。
    ちょっと大きくなると、粘土を着色して作るビッツァにも挑戦して、
    小さな具を丁寧に作ります。
    お小遣いをもらった時は、スーパーで売っているキットを買って、
    着色された粉を水で練って作るたこ焼きやピザ
    (ラムネ味とかになっていて、もちろん食べられます)を
    作ったりもします。

    もちろんビザは具だくさん。相当なボリュームがあるので、
    丸ごと一人じめするのではなく、みんなで切り分けることになるので、
    それもまた嬉しそうです。

    罫線

    この絵本では、お父さんがピッツァ作りをします。
    お父さんが選ぶのは、わりと正統派の具ばかり。
    身近な材料???でささっと作っています。
    出来上がったのはシンプルだけど、ぼうやを笑顔にする
    特別なピッツァだったのでした。

    この絵本を小さな子どもと読んだのであれば、
    閉じた後、”やってみよう”とリクエストがくるでしょう。
    場所がない時、静かにしなければならない時は、
    手のひらや、足の裏なんかで作っても楽しいと思います。

    なお、登場するパパとママが、あまり若々しくない、
    祖父母のようだ、というご意見がたまにあるようですが、
    いろんな家族の形があってよいと思います。
    もちろん、おじいちゃん、おばあちゃん、先生方も参考になると思います。
    絵本のような”ピッツァ作り”は、
    ほんの一部体力が必要な過程もありますが、そこは省いたりして。
    逆に、年齢の離れたお兄さん、お姉さん、従兄弟さんなどは
    生地伸ばしにも、ぜひ挑戦してみてください。
    (動きまわる子どもは結構重たいので、くれぐれもお気をつけて)

    それでもまだ、時間が余ってしまう、雨が止まないようならば、
    交代してこちらがピッツァの生地になってみませんか。

    …自分は生地。目を閉じる。深呼吸。
    完成するまでは、動かない、怒らないというルールを
    密かに作って、静かに発酵する……
    頑張って守ろうとすればするほど、
    子どもは一層盛り上がると思います。

    目を閉じて思い出すのは、あの歌。
     あぶくたった 煮えたった 煮えたかどうだか食べてみよ♫
     ムシャムシャムシャ… 
    …あの鍋料理はどんな味なのかな?
    輪の中心で目を閉じていると、鍋料理の具だといって、
    まわりに生えていた雑草を抜いたのや、落ち葉をかけられたりした
    子どもの頃を思い出すかもしれません。

    特別なレシピはなくても、
    いろいろなピッツァを作れば、
    ピッツァを作る人、食べる人、ピッツァになる人!?
    みんなが表紙のぼうやのような笑顔になることでしょう。

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