セーラー出版は2013年7月1日をもちまして、社名を「らんか社」に変更しました。

  • ほんを よむと なにもできなくなる

    ほんをよめばなんでもできる

    ジュディ・シエラ/文
    マーク・ブラウン/絵
    三辺律子/訳

    32×24cm 33P
    定価1,650円(本体1,500円)


    原題は"Born to Read"
    サムが最初に字を読んだのは、ベビーベッドの背にペイント(刺繍?)された名前。
    このときサムは、自分が“読むために”生まれたことを意識します。

    本が大好きな人も、あまり好きでない人も、
    読書の楽しみを共感できる絵本。

    お母さんに読み聞かせてもらったのは
    『はらぺこあおむし』『ぱたぱたバニー』ドクター・スースの絵本……
    おなじみの絵本に親しむうちに、トムはだんだん
    文字が身近なものを表していることを
    理解していきます。

    トムは、4歳になる前、原因不明の病気にかかりますが、
    お医者さんより先に医学書の中から病名をつきとめます。

    自転車レースに参加することになったサムは、
    精神学、医学、栄養学、自転車修理……
    目標目指してさまざまな角度から資料を集めます。
    もちろん、レース中の読書は控えますが、
    ゴール直前で詩をひとつ唱えてから余裕の優勝!

    そして大きな赤ん坊の出現。
    ”フェ フィ フォ ファム
     すりつぶして くっちまうぞおー”
    『ジャックと豆のつる』の大男のようです。
    もちろんたくさんのファンタジーを栄養に育ったサムは、
    本から得た知恵と勇気を支えにのりきります。

    1冊の本を楽しむ……からスタートして、
    本の中身を自分に置き換える。ちょっと立ち止まって共感する。
    本から勇気をもらう。
    調べものをする。次に読む本を探す。
    目標目指して資料を集め、実践する。
    ……読書を通して、自らの可能性を広げていく読書“力”成長物語でもあります。

    電子書籍も楽しいけれど、
    こうした過程をスキップしてしまうような気がします。
    何よりも、開いた頁の中に吸い込まれそうに読書するサムの姿が楽しそう。
    入浴中に、買い物しながら、バスケをしながら……

    だいぶ少なくなりましたが、
    図書館にもいます。書店でも見かけますよね。
    本を読んで、周りのことが気づかなくなる子たち。
    もしかしたら、自分もそうだったかも……と見守ります。
    『ほんを よむと なにもできなくなる』
    頭の中は、サムのように冒険しているのでしょう。
    夢中になっていたのが、らんか社の絵本だったら尚更うれしいですが……。

    しかし、何かをしながらの“ながら読書”は危険も伴います。
    『サムあぶない!』『そんなこと、ないない!』『それ、ありえないよ』……
    時々ツッコミをいれましょう。
    大勢で読んで、みんなで一斉にツッコミを入れるのも楽しいです。

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